パンツァネッラをパンから作ってみた
イタリアはトスカーナ地方のサラダパンツァネッラ。固くなったパンを水に浸しやわらかくしてオリーブ油や酢で味つけする夏のもてなし料理です。パンにはトスカーナ特有の無塩パンを使うそう。無塩パン、食べてみたい!しかしトスカーナは遠い……。とーすっかなー。(アラサー女子の着ぐるみを着たおっさんです)というわけで、塩なしパン、パーネ・トスカーノもどきを作ってみることにしました!
もともとのレシピはパンを水で浸して絞ってから他の材料と混ぜ合わせますが、最近では最初からパンを他の材料と一緒にしてふやかしたり焼き直す方法もあります。お好きな方法で作ってみてください。
また、入れる野菜も様々ですが、今回はシンプルにトマトと玉ねぎの2つだけで作りました。この2つだけで作る場合はバジルを入れるのがおすすめです。バジルのよい香りとパリッとした歯ざわりが加わりはるかに美味しくなります。トマトと玉ねぎはパンツァネッラに欠かせませんが、この2つに加えてキュウリやズッキーニなども入れたりします。火を使わずさっぱりと食べられるので暑い夏のごはんにぴったり。たくさん野菜を入れると美味しく簡単に栄養が摂れますね!
材料(2人分)
分量は目安です。お好みで加減してください。
固くなったパン | ロールパン3,4個分の大きさのもの1個 |
トマト | 中2~3個 |
新玉ねぎ(赤玉ねぎでも) | 4分の1個 |
バジル | 適量 |
オリーブ油 | 大さじ2~3 |
白ワインビネガー(お好みのビネガー) | 小さじ2 |
塩 | 3,4つまみ |
黒こしょう | 少々 |
作り方
1.固くなったパンを半分に切り水に浸してふやかします。目安としては30分くらいですが、もっと早くやわらかくしたい場合はさらに半分にしてください。
2.トマトと玉ねぎを切り、ボウルに入れます。
3.オリーブ油、白ワインビネガー、塩、黒こしょうを加えて混ぜます。パンを入れた後に調味料を入れるとほとんどパンに吸収され味にムラが出てくるのでできるだけここで調整しましょう。
4.パンをひと口大にちぎって水気を絞り、2に加えて混ぜます。味見をして足りなければ加えてください。
パーネ・トスカーノ
トスカーナのパンといえば小麦粉と酵母と水だけで作る無塩パンが特徴です。『イタリア 味の原点を求めて (至高の食材)』(著:バートン・アンダーソン 訳:塚原正章・合田泰子)にはこの無塩パンについて以下のように書かれています。
パスタと米とポレンタは、主食としてイタリアの各地に根づき、さまざまな料理のヴァリエーションが生まれた。ところがその例外が、トスカーナ地方である。長らくトスカーナ人は、ひたすらパンに対して信仰もどきの愛着を抱きつづけた。彼らにとって生命の糧は「パーネ・トスカーノ」(トスカーナ・パン)で、これは薪(まき)かまどで焼きあげた、こんもりとした塊りである。朝食の時にはまだ温(ぬく)みが残り、発酵したパン生地の酸味と、煙い風味をおびた甘い香りとが混じっているが、外見はぶざまな格好で、厚い外皮には黄褐色の焦げ目がつき、うすベージュ色の身はいたるところ、ふぞろいな穴だらけである。見かけは変哲もないがこのパン、香りと水分の保ちがよくて、噛みごたえのある腰はなかなかへたらず、何回もの食事を出ずっぱりで見事つとめあげる。少しずつ堅くなってもひからびずに一週間やそこら長もちし、あげくはトスカーナ流の、トロミのついた濃いスープの材料となる。これがまたトスカーナ人の好みときていて、パスタシュッタ(スープに入れるのではなくて、ソースをかけて食べるパスタ)よりもひいきにしている。(pp.47-48)
総じて一般的には受けがあまりよくないものの、小麦と酵母の繊細な味がよくわかり、好きな人にはたまらない味わい深いパンのようです。
かつて各家庭でパンを焼いていた頃は日曜日に一週間分のパンを焼くのが習慣で、そのときに少しだけ生地を残しておいて次に生地を作るときの種にしていたそうです。また昔はビール酵母を使ってパンを焼いていたため、ビール酵母で作るとより昔ながらの風味が味わえます。
ですが今回はとても簡単に、白神こだま酵母ドライを使いオーバーナイト発酵で作りました。どの酵母(イースト)を使ってもいいのですが、無塩パンは粉と酵母の味がそのまま出るので美味しい粉と酵母を使うのがおすすめです。(下はドライイーストを使った場合のレシピです。普通のオーバーナイト発酵の作り方から塩などを抜いて作れば大丈夫だと思います)
材料
強力粉 | 300g |
ドライイースト | 小さじ2分の1 |
水 | 180g |
☆白神こだま酵母ドライを使う場合はあらかじめ35℃の温水30gで溶かしてから作り方1で150gの水を加えます。その他のドライイーストも袋に指示が書いてあればそれに従ってください。
作り方
1.ボウルにすべての材料を入れ10~15分ほどよくこねます。生地が乾かないようにラップや蓋などをして冷蔵庫で一晩一次発酵します。今回は9時間置いておきました。(写真は発酵前と後です)
2.冷蔵庫から出し2等分してそれぞれ成形し(形はお好みで)、生地が乾かないようにビニールなどをかぶせ40~50分二次発酵します。(写真は発酵前と後です)
3.お好みでパンの表面に切り込みを入れ、200℃に予熱しておいたオーブンで25分焼きます。
はてさてどんなパンができたでしょう。見てみると、皮は厚く、生地は目が詰まっています。食べてみると、皮はバリバリ硬くて中はもちもち。穴はボコボコあいていませんが、皮は厚く、香りよし、水分たっぷり、噛みごたえ抜群!(夫はお餅みたいと表現)というわけで、本物からそこまでズレたものではなさそうです。そして確かに小麦の甘みと酵母の香りやうまみがストレートに伝わってきました。
思ったより美味しい、というか普通に美味しい!けど何か物足りないという気持ちもよくわかります笑 パンツァネッラには焼いて3日目のパンを使用しました。本当はもうちょっと置いてみたかったのですが、梅雨時期だし、普通に食べるにはちょっと大変というくらいには硬くなっていたので。
また、最初はパンを丸ごと水に浸しておいたのですが、皮が厚くて1時間たっても内部にはほとんど浸透していませんでした。なので丸ごと浸す場合は最低でも2時間~一晩置いた方がよさそうです。