豆腐とバナナ

日本では菜食・非菜食にかかわらずお豆腐スイーツはとても人気で、そのバリエーションの豊かさには驚かされるが、海外の菜食界隈を覗いてみるとそうでもないようだ。豆腐自体はとても人気で料理に使われるのはよく見かける。だがお豆腐スイーツに関していえば、溶かしたチョコレートと絹ごし豆腐を混ぜ合わせて作るムースくらいで、それ以外はめったに見かけない。

その理由のひとつとして、海外では豆腐の代わりにバナナが使われることが挙げられるのではないだろうか。豆腐もバナナも他の材料との組み合わせや使い方によって、生地をふわっとさせたり、しっとりさせたり、もちっとさせたりすることができるのは不思議だがとても面白い。両者とも実に便利な食材である。

しかし豆腐に慣れ親しんできた私からすると、バナナほどの地位を確立しなくても、お豆腐スイーツは海外でももう少し広まってもいい気がする。日本との差が大きく感じられるのは一体なぜだろうか。単純にお豆腐スイーツの美味しさや、豆腐をお菓子に使うことのメリットが知られていないのだろうか。大豆は海外では敬遠される向きがあるが、その影響だろうか。あるいはお豆腐=おかずというイメージが強く、お菓子に使うのは受け入れにくいのかもしれない。

豆腐とバナナの他にはヨーグルトも似たような役割で使われたりする。お菓子作りにとって卵は不可欠な存在だが、菜食の世界ではチアシードやフラックスシードが代用される。そういえばチアエッグやフラックスエッグを使ったレシピはよく見かけるので、これらが豆腐の代わりを果たしているというのもあるのかもしれない。

と思っていたら、海外でも豆腐が使われているお菓子を発見した。それはクラフティである。vegan clafoutisでレシピを検索すると、かなりの確率で絹ごし豆腐が材料に入っていて、どうやらひとつの定番の作り方になっているようだ。

私はこれらを参考にしながら自分なりのクラフティを作ってみた。当時はグルテンフリーにこだわっていたこともあり、生地にはコーンスターチとアーモンドパウダーを使った。油を使わなければどうしても固くなりがちだ。それを避けるために豆乳ヨーグルトを多めに加えてみたりした。こんな風に試行錯誤してオリジナルレシピを作るのは楽しかったが、何せ豆腐に豆乳ヨーグルトと大豆のオンパレードだ。いくつも食べていると胸焼けがし、まるで身体のあちこちから大豆の芽がうにょうにょと生えてきそうな感覚に襲われた。

以前にも書いたことがあるが、私はお豆腐スイーツは好きだが自分ではレシピをあえて作ろうとは思わなかった。わざわざそんなことをせずとも優れたレシピが世の中にたくさん存在しているからだ。これからも時代に合わせて様々なレシピが生み出されていくことだろう。それらと出合えるのがお豆腐スイーツのいちファンとして楽しみである。

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