レシピ作りの才能
2年ほどレシピ作りを続け、わかったことがある。それは、人が作りたいと思うレシピを作ることは簡単そうで難しいということだ。もしそれに才能がいるのなら、私には全くないといっていい。
特にインスタグラムや投稿サイトにレシピを投稿するようになったこの1年は学ぶことがとても多かった。
私は当初オリジナリティあふれるレシピが1番だと思い、できるだけ他の人とは違うレシピを発信し続けた。
もちろん個人が好きでするのだからそのこと自体は一向に構わないだろう。
だがレシピの受け手の立場からすると、もっと「普通」に作れるレシピは山ほどあるのに、美味しいのかどうかもわからず、手に入りづらい材料で、やたらに面倒くさい方法で作る私のレシピは完全に独りよがりだった。
それに気づいてから、私は少しずつ軌道修正していった。
できるだけ人に受け入れられそうなものを、できるだけ特別な材料を使わずに、できるだけ簡単な作り方で作るようにした。
ようやくスタートラインに立ったのだ。
しかしどんなレシピが受けるのかはさっぱりだった。
これは結構いい線いくんじゃないかと思ったものが実際はそうではなかったり、反対に思ってもみなかったものが小さなヒットを生み出したりした。
予測不能の連続だった。
そんな中で人が作りたいと思うレシピはどんなものか察知し作ることができる――それも1度や2度のことではなくて、毎回期待を裏切らずに作り続けられる――のはひとつの才能だと考えるようになった。
それだけではない。
人気の人達を見れば、彼らはみなセンスの良いスタイリングや料理が最大限に美味しそうにみえる写真の撮り方を心得、テロップ付きの親切でわかりやすい動画だって何でもない風に載せている。
才能がある上で努力だって怠っていないのだ。料理ひとつにかける情熱や自信には圧倒されっぱなしだった。
これ以上自分が出る幕があるだろうか。
とはいえたとえ人気になれなかったり、たくさんの人から喜ばれるものでなかったとしても、レシピ作りは楽しいものだ。
また、他の人と肩を並べ、お互いに認め合い、たまに少しのライバル心を感じながらレシピを投稿するのはひとつのスポーツみたいでわくわくする。
はなからたくさんの人に受けることなど期待してはいないが、ひとりでも自分のレシピに反応してくれたり、興味を持ってくれる人がいるのはとても嬉しい。
これからも自分のペースで楽しみながらレシピ作りを続けていけたらと思う。